劇団☆新感線 Feed

2009年6月28日 (日)

いのうえ歌舞伎・壊(Punk) 蜉蝣峠

観劇日・・・2009年4月25日                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                          劇場・・・梅田芸術劇場メインホール

 作・宮藤官九郎のいのうえ歌舞伎

 蜉蝣峠(かげろうとうげ)に一人の男がいた、名は闇太郎。彼は「蜉蝣峠で待つ」という言葉以外の全ての記憶を失くしていた。
 そこに旅役者・銀之助が通りかかり、2人で旅をすることになる。銀之助は座長の妻と浮気をしたということで、ドサ周りの一座から放逐されていたのだった。

 この2人がたどり着いたところは"ろまん街"。この街は先代親分が亡くなった後、天晴組と立派組が街を二分して跡目争いをしていた。
天晴組は先代の息子、立派組は先代の娘婿が取り仕切っていた。
 この街の居酒屋の親父が闇太郎のことを覚えていた。先代親分がやられた日、蜉蝣峠を越えて直訴状を代官に届けようとしていた少年が闇太郎だったのだ。
 その時闇太郎は蜉蝣峠で、村の幼なじみのお泪と待ち合わせの約束をしていたのだった。しかし親分を初めとする大量殺人の事件に巻き込まれてしまったのだ。

 再会したお泪は天晴組で働いていた。記憶喪失の闇太郎と再会し、恋心が再燃するお泪。そんなとき立派組が営んでいた女郎屋から帰る途中で代官が殺されるという事件が起こる。この事件を解決したとして闇太郎が一躍ろまん街の英雄となり、お泪と夫婦になって立派組を引き継ぐ。

 そんな中、自分こそ本物の闇太郎という男が現れる。では記憶喪失の闇太郎は一体誰なのか…という展開でした。

 ミステリーと純愛に無差別殺人という時事性を絡めて、劇団☆新感線流に味付けしたという芝居でした。
 今まで見てきた新感線の芝居では、ゲストが主役で古田さんたちが脇を固めるというパターンが多かったので、主役を古田さんががっつり演じておられるのに珍しさを感じました。

 ゲストの堤真一さんは、天晴組の親分でもあり、闇太郎とお泪が子供のころ暮らしていた村で起きた一揆を壊滅させるための虐殺事件に絡むキーパーソンの役でした。なんといっても最後に闇太郎相手に舞台中を処狭しとくり広げる立ち回りが素晴らしく、堤さんで無ければこれほどの立ち回りをこなすことは難しいのではないかと思いました。ちょっとでも気を抜けば怪我でもしかねないほどの速さと手数。素晴らしかったです。

 お泪役の高岡早紀さんは、こんな女性に一途に思われたらどんな男性でもいちころだろうなというコケティッシュな魅力が溢れていて、それが演技なのかご本人の持っているものなのかは、私の目からは判断できなかったのですが、でもたくさん女優さんがいる中でもこのような雰囲気を持ってる人って、そうそういないよなぁと思いながら拝見しました。

 女形・銀之助役の勝地涼さん、男の姿をしているけれど実は立派親分の娘役の木村了さん。木村了さんはテレビでも女性的な役が多かったりするので、今回の舞台でもこんな複雑な役が回ってきたのかもしれません。今流行のBLを意識したカップルっていうことなのでしょうか。
 でも芝居の流れからいって、普通の男の子の役でも全然問題はなかったと思いました。 

2007年3月17日 (土)

「朧の森に棲む鬼」

観劇日…2007年2月24日
劇場…大阪松竹座


 中島かずき作・いのうえひでのり演出、劇団☆新感線に市川染五郎が参加。日本中世の代表作・酒呑童子物語にマクベスを加えた感のある作品でした。

 エイアン国とオーエ国が戦争を繰り返していたある時代、幼なじみのライとキンタは落ち武者狩りをして生きていました。頭の回転が速く口八丁のライと頭は良くないけれど滅法腕が立つキンタ、二人は一緒に乱世を生き抜いて出世しようと誓い合っていました。

 ある日、落ち武者を追いかけて、朧の森に二人は迷い込んでしまいます。この森には恐ろしい鬼が棲んでいると噂されていたのでした。そんな噂を信じていなかったライの前に、3人の白装束の魔女が現れどんな望みでもかなえてやろうと契約を持ちかけます。初めは魔女たちを疑っていたライですが、王の座を約束されて、その気になってしまうのでした。交換条件として、ライの命を望んだ魔女たちに、ライは「俺が俺を殺される時だ。そんなときが来たら、おとなしくてめえらにこの命くれてやる。」と告げるのでした。

 魔女たちはライの嘘つきの舌と同じくらい動く剣をライに与え、次にここに現れた男を殺せ、そして魔女たちを同じ顔の女たちに出会ったら、それが運命の変わり目だと教えます。

 魔女たちが消えるとライとキンタの前に一人の男が現れます。その男はエイアン国四天王の一人・サダミツでした。サダミツはオーエ国の金山から出土する金に目がくらみ寝返ろうとしていたのでした。

 サダミツを討ったのち、オーエ国のシュテンが部下を連れて現れます。そのシュテンが魔女の一人にそっくりだったことで、ライは自分の運命が動き出したことに気が付いたのでした。

 シュテンたちに、自分はサダミツであると嘘を言い、その場を逃れたライとキンタはエイアン国のラジョウに現れます。ラジョウは金と欲の渦巻く町でした。そこへ風紀の取り締まりに現れたのが、サダミツの妻で検非違使の長官・ツナでした。彼女もまた魔女の一人にそっくりだったのです。

 あと一人魔女に似ていた女はエイアン国王イチノオオキミの側室・シキブでした。
 ライはエイアン国四天王の一人だったサダミツの後釜に座り、ラジョウの陰の支配者・マダレを味方につけ、目障りな人間を殺して、出世していきます。

 ライは出世するに従い、自分以外のものを信じられなくなっていき、幼なじみであったキンタまで手にかけてしまいます。
 そしてシキブを色仕掛けで落として、イチノオオキミを毒殺させ、シキブの口を封じるため、彼女まで殺してしまうのでした。

 こうしてエイアン国の王にまで上り詰めたライだったのですが、彼に反抗するものたちやオーエ国のシュテンたちは森に逃れ、ライと闘うために立ち上がるのでした。

 この芝居はストーリーの面白さや役者の演技力ももちろん素晴らしかったのですが、照明がとても凝っていて久々に印象に残る照明だったように思いました。
 それと歌舞伎劇場ということで、最後の立ち回りに本水を使用できたのも贅沢だったのではないでしょうか。
 ライという役は、ただの小悪党だった男が権力を掴んでいく過程で、どんどん極悪になっていくのですが、その徹底ぶりが面白かったです。歌舞伎だと実は…お家のためだったなどと言い訳がましい設定があったりするのですが、最後の最後まで悪いままシャレコウベになってしまうのが、現代的でクールだと思いました。
 ライは英語の嘘と酒呑童子に出てくる源頼光の両方に掛けてあるのが、ひねりが効いているなと思いました。
 
 キンタ役は阿部サダヲさん。ライに対して何の疑いもなく付いて行くのですが、裏切られ瀕死の状態に追い詰められてしまいます。阿部さんの持ち味が活かされた役で、躍動感のある殺陣、愚直と思えるほどの素朴さ、裏切られたと知ったときの切なげな演技、楽しませてもらえました。

 暗黒街ラジョウのボス・マダレは、暗黒街の権益を守るためにライと組んでいたのですが、身体に入っていた蛇の刺青からツナの兄弟だったことが判り、ツナの側に廻ることになるのです。都合がいいといえば、都合がいいんでしょうが、歌舞伎っぽい役ともいえると思います。その役を演じたのは古田新太さん。悪役は手の内に入っておられるので久しぶりに楽しめました。

2006年7月12日 (水)

「メタルマクベス」

4npc5r_y 観劇日…2006年7月1日
劇場…大阪厚生年金会館


 シェィクスピア原作、松岡和子翻訳、そして今をときめく宮藤官九郎が脚色した「マクベス」

 2206年、世界戦争によって荒廃した東京の一角で、大鍋に炊き出しのカレーを作っている女が3人。そこへヘビーメタルロックにあわせて、バイクに乗って現れるランダムスターとエクスプローラー。
 この2人に鍋をかき回す女たちは、ランダムスターが王に、エクスプローラーが王の父になると預言します。そして預言は全てここに録音されていると「メタルマクベス」というヘビメタバンドのCDを渡すのでした。

 主にマクベスのストーリーは2206年の世界で進んでいくのですが、ところどころ1980年代の「メタルマクベス」というバンドの盛衰が織り込まれていきます。

 最初は魔女の預言を半信半疑で聞いていたランダムスターだったのですが、勲功によってメイプルの領主に取り立てられ、魔女の言葉が気になり貰ったCDばかりを聞くようになってしまうのでした。

 1986年の日本、アマチュアのヘビメタバンド、シェィクスピアの戯曲「マクベス」からバンドの名前を「メタルマクベス」とつけ、メンバーもマクベス内野、マクダフ北村、バンクォー橋本と名乗っていました。
 ローズと言う女マネージャーによって見出された「メタルマクベス」は、大手プロダクションに入るのですが、このプロダクションは今まで演歌を中心に活動しているところだったのです。「メタルマクベス」メジャーデビュー記念のパーティーだったはずが社長の息子のバックバンド扱いを受け、バンドのメンバーもぎくしゃくし始めます。

 デヴューアルバムもそこそこ売れ、人気も出てきて傲慢になっていくマクベス内野。彼の態度にマクダフ北村は社長の息子とともに巡業に出てしまいます。バンクォー橋本は、マクベスにそそのかされたパンク野郎に殺されてしまいます。

 たった一人残ったマクベスとマネージャーのローズは新たなメンバーを集め、新生メタルマクベスを結成し、その発表パーティーの席上、マクベスはバンクォーの幻覚を見て、常軌を逸した行動を起こしてしまうのです。

 それをきっかけにマクベスとローズは芸能界で生きていけなくなり、ローズは睡眠薬中毒になってしまっていました。
 マクベスは最後の賭けとして、路上ライブを一人でやろうとするのでした。

 2206年の世界は、シェィクスピアのマクベスにかなり忠実に脚色されていたのではないでしょうか。その話と上記の「メタルマクベス」が上手くリンクし絡み合って、話は展開していき、ランダムスターとマクベスがいつの間にか一体化していきます。

 最後、ランダムスターの鋼の城に前王の息子(レスポールJr.)とグレコ(マクダフ北村)が潜入し、鋼の城の地下に隠されているミサイルがランダムスターに使用されないよう城のブレーカーを落とそうとします。

 ところがブレーカーを落とした瞬間、鋼の城の自爆装置が作動し、大音響とともに鋼の城もろともランダムスターは倒されてしまいます。

 劇団☆新感線は相変わらず完成度が高く、メインキャストのはまり具合には感心させられました。4時間の長い芝居でヘビメタ+演技+アクションと持てる力の全てを搾り出しているように見えました。

 マクベス役の内野さんは最初舞台に現れた時の劇場中の観客をひきつける華やかさ、演技・歌の確かさ、途中ちょっと苦しそうなところもあったように見えましたが、最後の場面でマクベス夫人とせりあがってきた時のかっこよさ、楽しませてもらいました。

 ランダムスター夫人・マネージャーローズ役の松たか子さんが歌うロックの力強さに、さすが歌手活動もなさっておられるだけのことはあると思いました。

 この芝居の中で一番驚いたのは、森山未來君でした。今まで夜ドラで気の弱い男の子役をチラッと見たことがあったくらいだったので、あれだけ歌って踊れる人だとは全然知りませんでした。幕間の休憩の時に一緒に観劇した友達から4〜5歳の頃からダンスを勉強していたと聞いて、これからミュージカルのお仕事も増えていくだろうなと思いました。

 レスポール王役の上條恒彦さんは確かな歌唱力で王らしさを表現され、安心して拝見できました。

 グレコ・マクダフ役の北村有起哉さんは、個性の強い役者に囲まれていたせいか、最後の鋼の城に攻め込む頃になってやっと存在感が出てきたような気がしました。

 劇団☆新感線の粟根まことさん、高田聖子さん、橋本じゅんさんの3人は相変わらずエネルギッシュでよかったです。ただちょっと残念だったのは、高田さんの出番が私にとっては少なかったことかな。



2005年12月30日 (金)

「SHIROH」 劇団☆新感線

観劇日…2005年1月15日
劇場…梅田コマ劇場


 島原の乱をモチーフにして、原城に追いつめられた人間たちが権力者によって押しつぶされてしまう悲劇を描いていました。
 島原の人々は重税と飢饉による生活苦からの救いをキリスト教に求め、救いの御子の出現を望んでいました。
 島原の益田四郎時貞(上川隆也)は若い頃病人に触るだけで、病気を治してしまう奇跡を起こしていました。ある日、もう助からないように見えた娘にすがられ、ロザリオを渡して「これを持っていれば病気が治る」と教えます。それによって娘は病気が治るのですが、ロザリオを持っていたという理由でキリスト教徒でもないのに、殺されてしまったのでした。島原の四郎はそのことがきっかけで奇跡を起こす力を失い、自分が奇跡を起こせることをただ嬉しがっていただけで、神を試していたのだと苦しんでいました。そして自分がロザリオを渡した為に殺されてしまった娘リオの幻影を見ていました。
 天草のシロー(中川晃教)はバテレンと日本人の間に生まれ、鎖国政策によってバテレンの親と共に国外追放になったのですが、その船が難破したために日本に戻って来ていたのでした。そして難破船に残されたバテレンの財宝を闇市で売りさばいて暮らしていたのです。シローの歌声は不思議な力を持ち、その歌を聴けば、どんな人間もシローの思いのままに操ることができました。
 闇市に財宝を売りさばきにきていた天草のシローは役人に捕まってしまいます。そのときシローはリオの幻影に導かれ、歌声の力を使いませんでした。牢獄に捕らわれたシローは島原の四郎の父・甚兵衛と姉に会うます。
 天草のシローの力を知った甚兵衛は息子の替わりに、天草のシローを救いの御子として利用しようとします。父と姉を助けに来て二人のシローは巡り会い、島原の原城に立てこもって幕府と最後の一戦を交えることになったのでした。
 舞台の左右にはテレビモニターが重ねて置かれ、芝居が始まるまで東京の雑踏が流されていました。そして戦闘の場面には、イラク戦争(?)で出撃する米軍の戦闘機やデモ行進する民衆の姿を流していました。
 劇団☆新感線の芝居は、長いです。今回も昼1時に始まって休憩25分、カーテンコールを含めて終了したのが、5時5分前でした。その長い芝居で膨大なロックミュージカルを歌い上げたキャストの力量に敬服してしまいました。やはり中川晃教の歌声は凄いです。終盤には彼の歌声を聞くだけで、涙が止まらなくなってしまっていました。ただ人間らしく生きていきたいと願う天草のシローの純粋な魂の叫びが私の心に突き刺さってしまったようでした。
 島原の四郎役の上川隆也は武士らしく一軍を率いていく姿と、キリストにも通じる悩みに苦しむ姿が、ニンにぴったりあってて見応えがありました。
 劇団☆新感線といえば大爆笑の連続というイメージがあったのですが、今回は重い場面の合間に、新感線の笑いが観客の緊張をほぐすという程度に薄められていました。
 この物語は、劇団☆新感線と中島かずき、いのうえひでのりらしい反戦メッセージだったのではないでしょうか。

2005年11月25日 (金)

「レッツゴー!忍法帖」 劇団☆新感線

観劇日…2004年1月13日
劇場…シアタードラマシティ


初芝居はやっぱりこうでなきゃというくらい笑わせてもらいました。
サブタイトルが「劇団☆新感線2003年 ゆく年くる年チャンピオン祭」というくらいなので徹底的に劇団☆新感線をファンに楽しんでもらおうという企画のようでした。
 ストーリーは黒川藩への嫁入りが翌日という夜に突然城が攻められ、捕らわれそうになった静姫。その静姫が無事に黒川藩の若殿の元にたどり着けるかどうかを巡って、敵味方入り乱れての大騒ぎ。いやもう役者さん達の体力勝負に頭が下がりました。
 主役は大人計画の阿部サダヲで猿飛のサダという役だったのですが、得意な忍法が“木の葉隠れの術”だったりするのが昔の「風のフジ丸」を思い出させてくれるような扮装でした。
 劇団☆新感線の2大巨頭・古田新太、高田聖子は悪役でした。
古田新太は地獄谷の領主でいずれは黒川藩を我がものにしようと画策する地獄おろち丸の役。高田聖子は自分の娘を若君の嫁にしようと企んでおり輿入れする静姫が邪魔で亡き者にしようと戦を起こしたおやや役。この二人は実は兄妹という設定になっていました。二人が舞台の一段高いところに揃って睨みを利かせる場面など迫力があって凄い存在感でした。
 本筋の忍者物の他にも、第2幕の幕開きは申年を祝って「サルカニ合戦」のミュージカルという劇中劇のおまけも付いていました。全員被り物で阿部は猿の被り物でマイケル・ジャクソン風の歌と踊りだったり、今回のヒロイン静姫役の馬渕英里何にまでカニの被り物を着せたりしてました。
 上演時間2時間45分、ずーっと笑い続けて、もう帰り道でも自分のテンションが高くなっているのを引きずっているようでした。かなり健康にもよかったかもしれません。