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2014年6月26日 (木)

松竹大歌舞伎(平成二十六年度全国公立文化施設協会主催中央コース)

観劇日…2014年6月20日 劇場…八尾プリズムホール

 我が街の公共ホールに市川猿之助さん・市川中車さんの襲名披露公演がやってくる。その上、歌舞伎常設劇場の半額となれば行かない理由はありません。久々にチケットを抑えるのに苦労しました。

 演目は太閤三番叟・襲名披露口上・一本刀土俵入りの3本でした。

 太閤三番叟は、豊臣秀吉・北政所・淀の方の3人が三番叟を踊る設定で、背景は大阪城の絵が書かれていて大阪らしくていいなぁという感じでした(ただし今回の巡業で大阪で上演されるのは八尾と岸和田だけであとは全国各地だったのですが)。長唄さんも録音じゃなく生演奏で贅沢な気分になりました。  北政所には笑也さん、淀の方には笑三郎さんと猿之助一座を代表する女形二人をまず最初に。その後豊臣秀吉が出てくるんですがキビキビとしていて力強さもあり、最後に黒装束の男たちとの殺陣もあって、三代猿之助四十八撰らしい三番叟でした。

 口上の前に、今回の襲名披露公演で福山雅治から贈られた引幕が引かれました。これは松竹座での披露公演でも拝見しましたが、この旅公演にも帯同させてたんですね。  さて口上は、片岡秀太郎さんが詳しく澤瀉屋についてお話され、今回出番は口上だけなのでその分力を込めておられたようでした。  ひと通り口上が済んだ後、猿之助さんが友人の青木崇高さんにメールして八尾について聞いたところ、仏壇とヤンキーの町との答えが返ってきたと笑いをとっておられました。

 一本刀土俵入り。取手の我孫子屋のお蔦役は猿之助さん。お蔦は店の前で起きている喧嘩沙汰やたまたま通りかかった駒形茂兵衛が因縁を付けられる様子などを2階の窓の縁に腰掛けて、お酒を飲みながら眺めているのですが、酔っていく様が上手くて、どこかお酒の香りが漂ってきそうな感じがしました。茂兵衛に同情もしていたでしょうが、酔っ払ってるから気が大きくなって有り金に櫛笄付けて、茂兵衛にやってしまったんだなと思いました。    後半のお蔦は、音沙汰のない夫を待ちながら、娘と二人、内職をしながら貧しい暮らしをしていたため、全く化粧っ気の無い地味な女になっていました。元水商売の女にも見えないほどの変貌ぶりでした。

 駒形茂兵衛役は市川中車さん。前回松竹座で拝見した古典物ではセリフが危うくて、ちょっと大変やなと思ったのですが、長谷川伸の昭和初期の作品でしたので安心して見ることができました。  亡くなった母の墓前で横綱土俵入りを見せたいという泣ける芝居、お蔦からもらったお金で食べることができたのでチンピラ相手に喧嘩をして強いところを見せ、10年後渡世人になった時にはきりっとした男らしい姿に。

 この芝居を見ながら思ったのですが、第1幕と最終幕の10年の間に、お蔦はどうやって水商売から足を洗うことができたのだろうか。そしてどうやって茂兵衛はやくざの世界に身を置くことになったのか。ただお蔦と茂兵衛の立場が完全に逆転してしまったという設定を見せたかったのかもしれませんし、昭和初期の古典からの過渡期の作品なので、あまり深く考えなくてもいいのかもしれませんが、猿之助さん中車さんという芝居がうまい二人で拝見していると、ついそんなことが気になってしまいました。

 駒形茂兵衛が我孫子屋のことを尋ねる船大工役に坂東竹三郎さんと市川寿猿さん。竹三郎さんが男で関西弁じゃないという珍しい役を、寿猿さんも久しぶりにお元気な姿を拝見できました。  旅公演なので、その他大勢の役の人たちがちょっと弱いように感じられたこと、プリズムホールの大ホールは基本コンサート向けなので2階席ということもあり、声が割れて聞こえるのが残念でした。  舞台の寸法は歌舞伎にピッタリなのに、回り舞台が無いのも残念でした。  

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