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2013年1月 7日 (月)

こんばんは、父さん

観劇日…2012年11月23日
劇場…森ノ宮ピロティホール

 佐々木蔵之介さんが主演の舞台は、普段テレビのでは見られない役柄を佐々木さんが演じられるので、毎回楽しみにしています。
今回は借金取りから逃げ回っているホームレス役でした。
 佐々木さん以外に、父親役に平幹二朗さん、闇金の取り立て屋山田に溝端淳平さんが出演されていました。

 廃工場の破れた窓から老人が入って来る。天井から吊り下げられた縄を見上げている。その老人を追いかけて若い男が入って来る。若い男は闇金の社員で老人の担当者だった。なんとか利息だけでも払わせようとするが、上手くすり抜けようとする老人。

 山田は老人の息子の携帯番号を手に入れていた。息子はメーカーで課長をしているというのだ。業を煮やした山田は息子に電話をかけると廃工場から呼び出し音が響き、2階から息子が現れた。実はちゃんと会社勤めをしていると思われていた息子はエビ養殖投資詐欺に引っ掛かり、莫大な借金を踏み倒して逃げていたのだ。廃工場は老人がかつて経営していた町工場でバブルが弾けた後、人手に渡っていた。10年ぶりに出会った親子と闇金の取り立ての3人の会話からこの親子の歴史が明らかになっていく。

 平さん演じる元社長はしたたかな男で闇金相手に上手く立ち回っていきます。お陰で最近の闇金事情なんかも教えてもらいました。この父親は下町の工場だけでは飽きたらず第2工場を作り、コンピューターによるNC旋盤システムを導入します。また郊外にシャンデリアが輝く家を建て妻子を住まわせ、メーカーに就職が有利になるように息子を大学までストレートで行ける私学に通わせていました。

 父親は社長とはいえ下請け工場の職人上がりのコンプレックスの裏返しで、成金に成り上がった途端、ゴルフ三昧で第2工場に愛人もいるというやりたい放題。第2工場に入り浸りになってしまう。
 母親は郊外のご近所付き合いに疲れ果て、下町の工場へ差し入れを持って行ったりして生き甲斐を見つけ出していたのに、人員削減などで第1工場の人間が減らされていき、精神的に追い込まれてしまいます。失意の中亡くなってしまった母親の葬儀に昔母親に世話になった人々がたくさん集まってくれたというところに感動しました。

 そんな父母の姿を見ているのに、エビ養殖投資詐欺に引っかかった息子は、何を考えてるんだかと思ってみていました。
 ラストは父親の膨大なメモ(部品を作るための寸法を設定する方法)を見ながら、「機械を道具にして使いこなさなければならないんだ」という父の言葉に、もう一度やり直そうと目覚める息子というシーンでした。
 
 数日前に、劇団銅鑼で蒲田の町工場を舞台にした「はい、奥田製作所です。」を見ていたので、社長の違いで立ち直る工場もあれば、潰れていく工場もあるんだなと、いずれにせよ日本のものづくりを支えている町工場の危機が舞台にまで反映されていることに、日本はどうなってしまうんだろうと切なくなりました。

 大ベテラン・ベテランに挟まれて奮闘した溝端さんですが、百戦錬磨の親父達に振り回されている闇金の取り立て屋の姿と重なって、凄いプレッシャーの中で大変やったんちゃうやろかと思ってしまいました。

 

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