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2012年4月

2012年4月30日 (月)

ワンダーガーデン

観劇日…2012年4月8日
劇場…新神戸オリエンタル劇場

 明治の終わり頃から20年に渡る三姉妹と義妹の物語。
 長女・千草は杉山少尉と結婚することが決まる。千草は少尉の妻として規則正しく生きて行く。
次女・薫子は薔薇の美しさに惹かれて庭にやって来た大村子爵と恋をするが、大村には妻がいた。義妹・桜が特高警察に捕まったことで大村の操縦する飛行機で上野に向かうが悪天候で飛行機が墜落し、自分だけが生き残る。
三女・葉月は、読書好きで詩人の石巻と付き合ったりもしたのだが、祖父の葬式を手伝いに来た実業家・毛利と結婚する。
桜は女優になり、葉月がかつて付き合っていた石巻と結婚し、左翼活動に奔走している。

 元々花組芝居の同期4人の入座20周年記念で上演された作品の再演です。
但し初演は東京だけだったので私としては初めての観劇となりました。

 美しく手入れされた庭のある一家の三姉妹と義妹、そして彼女たちの夫や恋人たちを4人が早変わりで演じていきました。作はわかぎゑふさんで、どんなに時間が流れ世間が騒がしくなっても、毎日の生活は変わらず続いていくという女性作家の目線で、庭が4人の女たちを包みこんでいるように思いました。

 再演ということで前回とは違う配役だったそうで、こういうことができるのも花組芝居でちょくちょく役替わりで上演したりするからなのでしょう。

 一度決まった規則は守り通すという長女・千草、彼女を演じた大井靖彦さんのキャラとは違った感じで、そんなこと口で言ってても、あんまりちゃんと守って無いだろうと思えました。大井さんは、どことなく甘えん坊の雰囲気があるので、千草は難しかったんじゃないでしょうか。もう一役の実業家毛利のような男の役も大井さんには珍しく、いくら頑張ってもあんまり儲けられない人だろうなという感じでした。

 次女・薫子、詩人石巻役は桂憲一さん。桂さんは手堅い演技をなさるので、配役に違和感はありませんでした。
 前半葉月をサディスティックに翻弄していた石巻が、後半はヒモ男風に桜の尻に敷かれている差が面白く、年月や特高に逮捕されたり、子供の存在が男を変えるんだなと思いました。

 三女・葉月、大村子爵役は植本潤さん。こちらも華やかな女形なので葉月は可愛らしく安心して拝見しました。大村子爵を落ち着いた雰囲気で演じられたということは、中年男性という設定だったのでしょうか。私としては珍しい役を拝見させていただいた感じで、こんな優しそうな男性が奥さんがいるのに薫子と不倫してしまうのだろうかという印象でした。
 ラスト、大村子爵に瓜二つで薫子と長い間文通していた台湾人として出て来られたのですが、薫子が女性だと思っていたのが実は男性だったというちょっとしたドンデン返し、これからこの二人に何が起こるのかロマンティックに終わっていったのも女性作家らしい雰囲気ではなかったでしょうか。

 義妹・桜、杉山少尉役は八代進一さん。兄妹役を一人で演じることになりました。女優になってからの桜は気風のいい女で八代さんらしさがありました。
 それにしても当時の世相で軍人としてエリートコースを歩む男の妹が、特高にマークされる左翼の女優になれたのかどうか、ちょっと疑問が残りました。

 4人の男たちが忙しく早替わりしながら話が進んだので、4人の早変わりでなく、普通に上演されていたら、袴姿の女学生や左翼闘士の女優など華やかな舞台面になっただろうと思いました。