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2011年7月

2011年7月15日 (金)

鳥瞰図

観劇日…2011年5月28日
劇場…兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール

 千葉のとある船宿が舞台になっていました。そこは、地元の人たちのたまり場になっていました。
船宿には、おばあちゃんと漁師の息子が住んでいて、そこに孫娘が突然転がりこんでくることで、この家族が抱えている問題が炙り出されていきます。

 おばあちゃんは昔子供2人連れて、この船宿に嫁いできたのでした。娘は高校を卒業して家を出て、おばあちゃんたちとは疎遠になっていました。その娘が4ヵ月前に交通事故で亡くなってしまい、娘の旦那さんが女の人と暮らし始めたので孫娘は居場所が無くなって、おばあちゃんの所に来たのでした。

 長い間離れて暮らしていた娘の突然の死で心のなかでは悲しんでいるものの、表面上は普段通り明るく振る舞っているおばあちゃんの役を渡辺美佐子さんが演じられたのですが、舞台に立っている全員を家族のように包んでいる感じがして、芝居を見ていくうちに、その存在感がだんだん大きくなっていきました。
 息子は現在は独身ですが、かつて妻だった人が末期ガンと知って、皆にはパチンコに行くとごまかして病院に通っているという人間でした。不器用な生き方しかできない息子の役を演じたのは入江雅人さんでした。今まで、テレビドラマでしか拝見したことがなく、演技の幅も舞台サイズではない感じでしたが、それがぶっきらぼうな男の感じに上手く変換されていたように見えました。

 船宿に集まる人たちは、なかなか手練れのメンバーが揃っていて、楽しめました。

 東日本大震災で、鳥瞰図の舞台となった千葉の沿岸部が液状化現象で被害を受けたことを知った上でこの芝居を見ていたので、鳥の楽園だった干潟が埋め立てられてしまったことが、何度も語られるうちに、大震災後この船宿はどうなってしまったんだろう。その後の鳥瞰図が見てみたいなと思いました。

2011年7月 3日 (日)

紅姉妹

観劇日…2011年5月1日
劇場…シアター・ドラマシティ

  紅やの看板のあるレトロなバーに和服姿の老女が現れ、箱から最後の1本になった酒を取り出し、写真を相手に飲み始める。
暗転、時は遡り、新世紀の花火大会から、紅やに二人の女・ベニィとジュンが戻って来る。
ベニィは花火の爆発音を聞くと戦争時代の爆撃を思い出してしまうのだった。
そんな話をしているところにミミィがやって来る。今暮らしている旦那と別れて紅やに戻ってきたいというのだった。

こうして10年づつ時が遡って行くことで、この3人の半世紀の人生が明らかになっていきます。
 まず驚いたのが、舞台が日本ではなかったことでした。
最初ミミィ役の篠井さんが和服姿だったことと日本語の看板で、私は日本だと勝手に思い込んでしまいました。
 ところが、次のべニィとジュンの話から、どうも日本ではなくアメリカの話なのだと分かっていきました。

 次にベニィが男だったこと、今まで3軒茶屋婦人会の芝居は3人の男性が3人の女性の生き様を演じてきたので、まさかゲイが混じってるとは思いませんでした。

 このようにどんどんこの3人だけの秘密が明かされていく面白さがありました。
 もしこれが戦後から始まるストーリーだったら、商業演劇にありがちな女の一生物の芝居になっていたと思いました。

 今回は3軒茶屋婦人会の男性3人で上演されましたが、反対に宝塚OGで上演しても、面白い作品に仕上がるのではと思いました。